鍼を打たせてもらえる職場 か ど うかを、面接で見分ける7つの質問

「鍼灸師募集」と書いてある求人に応募して、入ってみたら鍼をほとんど使わなかった。この業界では、めずらしい話ではありません。

求人票を何度読んでも、これは見分けられません。どの会社も「鍼灸に力を入れています」と書くからです。書いてあることが同じなら、読んで比べても意味がありません。

ただ、聞けば分かります。この記事は、面接や見学で使える7つの質問をまとめたものです。当社に応募される方だけでなく、他社を受ける方にもそのまま使っていただいて構いません。

7つの質問には共通点があります。すべて「数字で答えられるかどうか」を見ています。

意欲や方針を聞いても、返ってくるのは意欲や方針です。数字で答えられる会社は、把握している会社です。把握していない会社は、あなたが鍼を使えているかどうかも把握しません。

各質問に、「良い答え」「危ない答え」、そして当社の答えを並べました。最後に1枚の表にまとめてあるので、面接に持って行ってください。

質問1「鍼灸師の資格を持つスタッフは何名で、そのうち何名が実際に鍼を使っていますか」

なぜ聞くのか。「鍼灸師が在籍しています」は、資格を持っているだけでも言えます。知りたいのは、実際に使っている人が何名いるかです。在籍10名で使っているのが1名なら、あなたも1名側になる可能性が高い。

答え方
良い答え 人数で即答できる。「◯名中◯名です」
危ない答え 「たくさんいます」「みんな使えますよ」― 把握していない、ということです

当社の答え:鍼灸師の資格を持つスタッフは29名そのうち29名、つまり全員が実際に鍼の施術を行っています(2026年9月時点)。資格を持っているだけで使っていない人は、ひとりもいません。

質問2「鍼灸を受けている患者さんの割合は何%ですか。希望ではなく、実施の数字で」

なぜ聞くのか。ここが最も差の出る質問です。求人情報でよく見るのは「鍼灸を希望される患者様が◯割」という書き方ですが、希望と実施はまったく別の数字です。

希望されても、保険の範囲や、担当できる鍼灸師がその場にいるかどうかで、実施に至らないことは起こります。「希望◯割」からは、あなたに機会が回ってくるかどうかは分かりません。

あわせて分母も聞いてください。「何名のうちの何%か」まで答えられるかどうかで、その会社が数字を管理しているかが分かります。

答え方
良い答え 実施の割合を、分母つきで答える。「◯月、延べ◯名のうち◯%です」
危ない答え 「希望される方が多いです」「体感では半分くらい」― 実施の数字を持っていません

当社の答え:2026年7月、全24院にご来院いただいた延べ16,488名のうち、73.2%の方が鍼灸を受けておられます。

希望の割合ではありません。実際に施術を受けていただいた割合です。

質問3「その割合は、この1年で上がっていますか、下がっていますか」

なぜ聞くのか。いまの数字が高くても、下がり続けているなら3年後は分かりません。逆にいま並程度でも、上がっているなら、あなたが働くころにはもっと機会が増えています。

大事なのは、いまの数字より向きです。そして、過去の数字を出せるかどうかは、その会社が継続して測っているかどうかを示します。

答え方
良い答え 去年と今年の数字を並べて答える。上がっていても下がっていても、答えられること自体が誠実です
危ない答え 「変わりませんね」「そこまでは見ていません」― 測っていない、ということです

当社の答え:上がっています。

期間 鍼灸受診率
20期(2024年8月〜2025年7月)平均 58.6%
21期(2025年8月〜2026年7月)平均 69.2%
2025年8月 61.6%
2026年7月 73.2%

1年で11.6ポイント上がりました。東洋医学の勉強会を年8回、資格別の技術練習会を年間予定に組み込み、経絡や五行の見方を全院の共通言語にしてきた結果です。

質問4「院によって差はありますか。配属候補の院の数字を教えてください」

なぜ聞くのか。ここを飛ばす方が多いのですが、実はいちばん自分に直結します。会社全体の平均が高くても、配属される院が低ければ、あなたの毎日は変わりません。

そして「どこも同じです」という答えは、ほぼ成り立ちません。院ごとに患者層も、いる鍼灸師も違うからです。差があることを認めたうえで、院別の数字を出せるかどうかを見てください。

答え方
良い答え 差があることを認めて、院別の数字を出す。「◯◯院は◯%、◯◯院は◯%です」
危ない答え 「どこも同じです」「院による差はありません」― 院別に測っていない可能性が高い

当社の答え:差はあります。2026年7月でいうと、最も高い院は99.8%、最も低い院は37.1%です。配属される院によって、鍼を使う頻度は変わります。

ここを隠しても、入ってから分かることです。配属候補の院の数字は、面接や見学のときにその場でお伝えします。院ごとに出せます。

質問5「鍼を使えるようになるまで、何を、どの順番で覚えますか」

なぜ聞くのか。順番が決まっていない会社は、教える仕組みがなく、配属先の先輩次第ということです。良い先輩に当たれば伸びますが、それは運です。

あわせて「どのくらいの期間で」も聞いてください。期間を言えるかどうかで、実績があるかが分かります。

答え方
良い答え 順序と、判定のしかたを言える。「◯◯を覚えてから◯◯、確認は◯◯で行います」
危ない答え 「先輩を見て覚えてもらいます」「人によります」― 仕組みがない、ということです

当社の答え:順番が決まっています。技術は4番目です。

① 安全と法令 → ② 評価 → ③ 解剖・生理 → ④ 機器の操作 → ⑤ 説明 → ⑥ 再評価と記録

技術が最初でない理由は、危ないと思ったときに手を止められる人が先に必要だからです。

段階は Level 0〜4(導入 → 見学・模擬 → 指導者同席での実施 → 院内認定 → 指導者)。院内認定は、知識の試験ではなく、行動を見る七領域で確認します。安全評価・機器理解・開始前操作・実施中管理・中止対応・臨床推論・説明と記録。パルス鍼は、この認定を受けた鍼灸師が担当します。

くわしくは 育成体系 のページで公開しています。

質問6「鍼灸の技術を扱う勉強会は、年に何回ありますか。日程は決まっていますか」

なぜ聞くのか。「勉強会あります」は、月1回でも年1回でも言えます。回数と、日程が決まっているかどうかを聞いてください。

日程が先に決まっていない勉強会は、忙しい月から順に消えます。「今月は忙しいので来月」を繰り返して、1年で数回しかやらなかった、ということが実際に起こります。

もうひとつ、「就業時間内ですか、それとも終業後ですか」も必ず聞いてください。ここは待遇そのものです。

答え方
良い答え 年間の回数と、日程表を見せられる。就業時間内かどうかも即答できる
危ない答え 「随時やっています」「希望者向けに」― 決まっていない、ということです

当社の答え:年間の勉強会は53回・168時間、すべて就業時間内です。日程は期のはじめに決めて全員に配っています。

そのうち東洋医学が年8回あります ― 陰陽論、五行論、五行式体表の活用、季節ごとの体の変化。さらに2027年2月6日は「実践 東洋医学アプローチ/技術練習会」で、鍼灸師・柔道整復師・整体師それぞれに分かれて実施します。

日程はすべて公開しています。53回の内訳と実際の開催日は こちらの記事 で1回ずつご覧いただけます。

質問7「見学のときに、鍼の施術を見せてもらえますか」

なぜ聞くのか。ここまでの6つは言葉で答えられますが、これは実際にやっていないと応えられません。最後の確認になります。

患者様の同意が必要なので、「必ず見せます」と即答できないこと自体は問題ではありません。見てほしいのは、断られたときの理由です。

答え方
良い答え 「患者様の同意をいただければ、お見せします」と条件つきで応じる
危ない答え 理由を言わずに曖昧に断る。「その日はやっていないかも」を繰り返す

当社の答え:見学は60分で、そのうち15分は施術を見ていただく時間です。患者様の同意をいただいたうえでご案内します。

見ていただきたいのは、実は手技そのものよりも声かけと丁寧さです。当日の流れは 見学について のページで公開しています。

7つの質問 ― 面接に持って行く1枚

このまま印刷するか、書き写して持って行ってください。当社以外の面接でも使えます。

質問 これが返ってきたら要注意
1 鍼灸師は何名で、そのうち何名が実際に鍼を使っていますか 「たくさんいます」
2 鍼灸を受けている患者さんの割合は。希望ではなく実施で 「希望される方が多いです」
3 その割合は1年で上がっていますか、下がっていますか 「そこまでは見ていません」
4 院による差は。配属候補の院の数字を教えてください 「どこも同じです」
5 鍼を使えるようになるまで、何を、どの順番で覚えますか 「先輩を見て覚えて」
6 鍼灸の勉強会は年に何回。日程は決まっていますか。就業時間内ですか 「随時やっています」
7 見学のときに、鍼の施術を見せてもらえますか 理由を言わずに断られる

この7つを、当社にも同じように聞いてください

この記事を書いた側なので、当社が答えられないと格好がつきません。そのつもりで公開しています。

面接や見学で7つとも聞いていただいて構いません。その場で答えられなければ、それが当社の実力です。特に質問4の院別の数字は、担当者が手元に持っています。

ひとつだけ補足すると、数字が高いことが、そのまま良い職場であることを意味するわけではありません。鍼灸の割合が高いということは、それだけ鍼を打つ日が多いということです。他の施術を幅広くやりたい方には、合わない可能性もあります。7つの質問は「良し悪し」ではなく「自分に合うか」を確かめるためのものだと考えてください。

柔道整復師の方は、聞くところが少し違います

この7つは鍼灸師向けです。柔道整復師の方が確かめるべきなのは、施術管理者になるまでの実務経験をどう積むか、実務経験の証明を出してもらえるか、保険以外の柱があるかといった点になります。

そちらは 「鍼灸師はやめとけ」と言われる5つの理由に、正直に答えます の後半にまとめています。

確かめに来てください

7つの質問は、見学の場でそのまま使えます。見学は60分、服装は自由で、その日に決めていただく必要はありません。国家試験の前でも歓迎します。

案内役ではないスタッフと話していただく時間もつくります。案内役だけが良い人に見えると、かえって不安が残ると思うからです。

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鍼灸受診率は、ご来院いただいた延べ人数のうち鍼灸を受けられた方の割合を、院ごとの実績を延べ来院数で重みづけして算出したものです(2026年7月・全24院・延べ16,488名)。当社の実績であり、業界の平均ではありません。
執筆:株式会社HCC 代表取締役 佐々木高則




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