「鍼灸師はやめとけ」と言われる5つの理由に、35店舗の整骨院 グループが 正直に答えます

「鍼灸師はやめとけ」。この言葉は、月におよそ2,900回検索されています。柔道整復師についての「やめたほうがいい」「やめとけ」も合わせると、月に6,000回を超えます。

これは「鍼灸師 求人」の検索数より多い数字です。職場を探す前に、この仕事を選んでいいのかを疑っている人のほうが多いということです。

私たちは採用する側なので、この言葉を無視できません。だから、言われている理由を5つに整理して、ひとつずつ正直に答えます。

先に結論を書きます。5つのうち3つは、その通りです。

否定するために書いた記事ではありません。事実は事実として認めたうえで、私たちの会社の数字を出します。そのうえで判断してください。

理由1「食えない。年収が低い」― これは、半分その通りです

言われていること。国家資格を取っても手取りが少ない。年収1000万は夢物語。専門学校の学費を回収できない。

認めます。勤務だけで年収1000万円は、現実的ではありません。「鍼灸師 年収1000万」は月140回検索されていますが、勤務者の話として書かれた記事はほとんどないはずです。あるとすれば開業者の話です。

そのうえで、当社の数字を出します。中途入社のモデル年収です。

時期 年収
1年目 320万円 + 業績手当
3年目 450万円
5年目(院長) 550万円

これは当社のモデルであって、業界の平均ではありません。低いと感じる方も、思ったより出ると感じる方もいると思います。数字を出す以上、比べていただいて構いません。

院長への就任は平均3.2年です。ここから先、年収を大きく変えたい場合は独立の話になります。理由3で書きます。

理由2「資格を取っても、鍼を打たせてもらえない」― これも、その通りです

言われていること。整骨院に就職すると保険の施術ばかりで、鍼を使う機会がない。資格が肩書きだけになる。

認めます。鍼灸師を採用しておきながら、鍼をほとんど使わせない整骨院は実際にあります。これは業界の構造的な問題で、否定できません。

当社がどうかを書きます。鍼灸を併設し、経絡に基づく施術を行っています。パルス鍼は院内の認定を受けた鍼灸師が担当します。保険適用の鍼灸・お灸も扱っています。

ただ、こう書いただけでは、どの会社も同じことを書きます。数字を出します。

2026年7月、全24院にご来院いただいた延べ16,488名のうち、73.2%の方が鍼灸を受けておられます。

「鍼灸を希望された方の割合」ではありません。実際に施術を受けていただいた方の割合です。

この数字の意味を書きます。鍼灸は「やりたい人がたまにやるもの」ではなく、当社の施術の中心にあるということです。7割を超える方が鍼灸を受けておられるので、鍼灸師の資格を持つスタッフに、鍼を使う機会が回ってこないという状況が起きません。

資格を活かせるかどうかは、会社の方針や意欲の問題ではなく、実際にその施術がどれだけ行われているかで決まります。だから、この数字を先に出しました。

1年で11ポイント上がりました

この割合は、もともと高かったわけではありません。

期間 鍼灸受診率
20期(2024年8月〜2025年7月)平均 58.6%
21期(2025年8月〜2026年7月)平均 69.2%
2025年8月(21期のはじめ) 61.6%
2026年7月(21期の終わり) 73.2%

1年で11.6ポイント上がっています。偶然ではありません。東洋医学の勉強会を年8回、資格別の技術練習会を年間予定に組み込み、経絡や五行の見方を全院の共通言語にしてきた結果です。

大事なのは、いまの数字より向きです。下がっている会社に入るのと、上がっている会社に入るのとでは、3年後に任される範囲が変わります。

院による差は、あります

正直に書きます。院ごとの差は小さくありません。2026年7月でいうと、最も高い院は99.8%、最も低い院は37.1%です。配属される院によって、鍼を使う頻度は変わります。

ここを隠しても、入ってから分かることです。だから先に書きます。気になる方は、面接や見学のときに配属候補の院の数字を聞いてください。院ごとに出せます。

「希望」と「実施」は、別の数字です

ひとつ、言葉の見分け方を書いておきます。求人情報では「鍼灸を希望される患者様が◯割」という書き方をよく見かけます。読むと、鍼を使う機会が多そうに感じます。

ただ、希望と実施は別のものです。希望された方のうち、実際に何割に鍼を打ったのかが書かれていなければ、自分に機会が回ってくるかどうかは分かりません。希望されても、保険の範囲や、担当できる鍼灸師がその場にいるかどうかで、実施に至らないことは起こります。

73.2%は、希望の割合ではありません。実際に受けていただいた割合です。応募先を比べるときは、その数字が「希望」なのか「実施」なのかを見てください。これは当社に対しても同じように確かめていただいて構いません。

あわせて、証拠になるものも出します。

2027年2月6日 ― 実践 東洋医学アプローチ/技術練習会

当社の年間勉強会カレンダーにある1日です。鍼灸師・柔道整復師・整体師それぞれに分かれて実施します。資格ごとに、その資格でしかできない技術を扱う日を、年間予定にあらかじめ組み込んでいます。ほかにも東洋医学の回が年8回あります ― 陰陽論、五行論、五行式体表の活用、季節ごとの体の変化。日付はすべて公開しています。

年間の勉強会は53回・168時間、すべて就業時間内です。そのうち技術・臨床と東洋医学で19回、全体の36%を占めます。日程と内容はこちらの記事で1回ずつ公開しています。

面接で見分ける3つの質問

当社に限らず、応募先を見極めるために使ってください。

  • 「鍼灸師の資格を持つスタッフは何名で、そのうち何名が実際に鍼を使っていますか」 ― 人数で答えられない会社は、把握していないということです
  • 「鍼を使えるようになるまで、何を、どの順番で覚えますか」 ― 「先輩を見て覚えて」しか返ってこない場合、教える仕組みがありません
  • 「見学のときに、鍼の施術を見せてもらえますか」 ― 実際にやっていれば見せられます

理由3「開業しないと稼げない。でも開業は失敗する」― 前半はその通り、後半には答えがあります

言われていること。雇われているうちは頭打ち。だから独立するしかない。でも「鍼灸師 開業 失敗」も月90回検索されている。結局どちらに転んでも厳しい。

前半は認めます。勤務のままで年収を大きく伸ばすのは、この業界では難しい。私たちも同じ考えです。

だから、当社は独立を引き止めません。むしろ道筋をあらかじめ決めています。

これまでに30名が独立しました。うち3名は、任されていた店舗を譲り受けて開業しています。なお、過去に店舗を譲り受けた方の条件は、その時々で個別に決めていました。営業利益の5年分という基準は、これから独立される方に向けて定めたものです。

2004年の創業から2026年8月までの累計です。そのうち何名が現在も営業を続けているかは、正確な数字を持っていません。把握していないことを、多いように書くつもりはありません。

独立の形は2つあります。どちらも、一人で全部を背負う独立ではありません。

内容
会社を共同で設立する 院長候補になった時点で、新規に開業する店舗をお任せします。その投資を回収したあと、およそ2年を目安に会社を共同で設立し、代表取締役として独立します
店舗を買い取る 任された店舗を、営業利益の5年分に相当する額で買い取り、自分の店にします

ここは正確に書きます。「共同で設立する」は、文字どおり共同です。一人で資金を用意して、一人で背負う独立ではありません。

買い取りのほうは、基準をあらかじめ定めています。「そのときの言い値」ではない、ということです。開業で失敗する原因の多くは、最初の条件が曖昧なまま走り出すことにあります。だから先に決めています。

くわしくは独立・キャリアのページに書いています。

理由4「将来性がない。オワコンだ」― 断言はしません。分散させているだけです

言われていること。保険の適用は厳しくなる一方。施術所は増えすぎている。AIや機械に置き換わる。

制度が変わることについては、私たちも同じ前提に立っています。「柔道整復師 療養費改定 2026」は月880回検索されています。それだけ多くの人が気にしているということです。保険だけに頼った経営は、これから厳しくなると考えています。

だから当社は、収益の柱を分けています。

  • 整骨院での施術 ― 鍼灸・超音波・EMS・テーピング・交通事故によるおケガ・日常生活やスポーツなどによる怪我の施術
  • 自費のメニュー ― 姿勢分析・整体・カイロプラクティック・脊柱骨盤の矯正・吸玉・ウォーターベッド・リンパ・足つぼ
  • 鍼灸 ― 経絡施術、パルス鍼
  • リラクゼーション ― 全身ほぐし整処ゆるり 11店

会社の規模は、整体整骨院24院とリラクゼーション11店の、あわせて35店舗。大阪11・兵庫12・東京1。2004年の創業から22年になります。

正直に書きます。「この業界の将来は安泰です」とは言いません。

この分野が縮んできた経緯と、2026年7月の療養費改定で何が変わったかは、こちらの記事にまとめています。柔道整復療養費は8年で約28%減り、1施術所あたりでは4年で約22%減っています。

言える人はいないと思います。私たちがやっているのは、ひとつの制度に依存しない形をつくることだけです。それが答えになるかどうかは、見て判断してください。

理由5「体力的にきつい。長く続かない」― 忙しい時間帯はあります

言われていること。立ち仕事で体を壊す。終業後に練習させられる。休みが取れない。離職率が高い。

忙しい時間帯があることは、ごまかしません。特に夕方は1日でいちばん動きます。立ち仕事であることも変わりません。

そのうえで、いちばん確かな数字を出します。

社員の平均勤続年数は 8年7ヶ月です。

2026年8月末時点、正社員の平均。パート・アルバイトを含みません。

この数字の意味を、正しく書いておきます。「誰も辞めていない」という意味ではありません。先ほど書いたとおり、これまでに30名が独立して会社を出ています。長く働ける会社であることと、独立できる会社であることは、両立します。

働き方の実際は次のとおりです。

項目 内容
出勤・朝礼 出勤8:15〜8:30/朝礼8:45
受付時間 9:00〜12:00/14:00〜19:00
昼休憩 12:00〜14:00。受付を閉じます。ここは休憩時間です
終業 19:30前後(その日の混雑によります)
技術練習 受付時間内、手が空いたときに行います。終業後の自主練習に任せていません
研修 年53回・168時間。すべて就業時間内
面談 入社30日で5回、その後は月1回。3ヶ月・6ヶ月・1年に節目の面談

就業時間内に練習を置いているのには理由があります。終業後の練習は、忙しい月ほど最初に削られるからです。「今月は忙しいから来月」を繰り返すと、1年で差がつきます。会社が売上の時間を削って学習にあてる、という判断をしています。

柔道整復師の方へ ― 「やめたほうがいい」と言われる場合

柔道整復師についても、同じ言葉が月2,300回以上検索されています。理由は鍼灸師と重なりますが、固有のものもあります。

言われていること 当社の場合
療養費が縮小し、保険で食べていけなくなる 保険・自費・鍼灸・リラクゼーションの4本柱。ひとつの制度に依存しない形にしています
施術管理者になるための実務経験が積めない 院長への就任は平均3.2年。実務経験の証明も会社が出します
整体との違いがなくなり、専門性が薄れる 骨格・神経・筋肉・経絡・生活の5つで身体を見る「五位一体メソッド」を全院の共通の見方にしています。教本は現在245ページ・14文書
技術が身につかないまま歳を取る 院内認定は行動を見る七領域で確認します。基本手技試験は二段階で、最終段階は社長が直接試験します

柔整と鍼灸のダブルライセンスをお持ちの方は、どちらも現場で使えます。資格ごとの担当範囲は学べる技術のページで公開しています。

5つの理由に、私たちがどう答えたか

言われていること 私たちの答え 根拠
食えない・年収が低い 半分その通り 勤務で1000万は難しい。モデル年収320/450/550万を公開
鍼を打たせてもらえない 業界としては事実 鍼灸受診率73.2%(2026年7月・延べ16,488名)。1年で11.6ポイント上昇。資格別の技術練習会と東洋医学8回を年間予定に明記
開業しないと稼げない その通り 独立30名・うち店舗譲受3名。独立の2形態と買い取り基準を公開
将来性がない 断言しない 保険・自費・鍼灸・リラクゼーションの4本柱、35店舗、創業22年
体力的にきつい・続かない 一部その通り 忙しい時間帯はある。平均勤続8年7ヶ月・研修は就業時間内

それでも、この仕事を選ぶ理由があるとすれば

ここまで読んで、勧誘されている感じがしなかったなら、それが私たちの意図です。合わない人に入っていただいても、本人も、チームも、患者さんも困ります。

ひとつだけ書かせてください。この仕事は、目の前の人が楽になったことを、その場で確認できる仕事です。数字や制度の話をさんざんしてきましたが、続けている人が続けている理由は、たいていここに戻ります。

そして、素質 × 努力 × 時 = 成果だと考えています。「期待」は「期を待つ」と書きます。成果が出るまでの時間を、会社が一緒に待つ。それができる仕組みを持っているかどうかが、会社を選ぶときの分かれ目だと思います。

確かめに来てください

ここに書いたことは、すべて見学で確認できます。面談日程の掲示も、技術練習シートも、実物が店舗にあります。

見学は60分。服装は自由で、その日に決めていただく必要はありません。国家試験の前でも歓迎します。案内役ではないスタッフと話していただく時間もつくります。案内役だけが良い人に見えると、かえって不安が残ると思うからです。

「やめとけ」と言われている仕事です。だからこそ、言葉ではなく現場を見て決めてください。

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検索回数は検索キーワード調査ツールによる月間の推計値です。鍼灸受診率は、ご来院いただいた延べ人数のうち鍼灸を受けられた方の割合を、院ごとの実績を延べ来院数で重みづけして算出したものです(2026年7月・全24院・延べ16,488名)。年収・勤続年数・店舗数は2026年8月末時点の社内数値で、当社の実績であり業界平均ではありません。療養費など制度に関する記述は一般に言われている内容の紹介であり、制度の詳細は公式の情報をご確認ください。
執筆:株式会社HCC 代表取締役 佐々木高則




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