入社後一年の伴走
入社して最初の1ヶ月に何が起きるかは、その後の何年かを左右します。分からないまま放っておかれた、聞ける人がいなかった、気づいたら辞めていた。そうならないように、面談の回数と時期をあらかじめ決めています。内定を出した日に5回すべての日付を確定させ、その日付を店舗にも掲示します。「忙しいから今度」が起きないようにするためです。
入社30日 ― 面談は5回あります
| 回 | 時期 | 主に話すこと |
|---|---|---|
| 1回目 | 採用が決まったとき | 入社までの不安、ご家族の理解、初日の段取り |
| 2回目 | 初日 | この1ヶ月で目指すことの共有。安心して始められる状態をつくる |
| 3回目 | 1週間後 | いまの手応えを本人の言葉で。困っていること、聞きにくいと感じていること |
| 4回目 | 2週間後 | できるようになったこと。任せる範囲を広げる相談 |
| 5回目 | 30日 | 1ヶ月の振り返りと次の目標。あわせて「3つの基礎力」を自分で確認します |
面談の進め方も決まっています
毎回、この順で話します。
① いまの自己評価を聞く → ② 良かったところ → ③ うまくいかなかったこと → ④ どうすればうまくいくか
そのうえで、大切にしていることが3つあります。
- アドバイスは1つだけ。たくさん言われても、持ち帰れるのは1つです
- 本人の言葉を、言い換えずにそのまま記録する。要約すると、大事なところが落ちます
- 次回の冒頭で、前回の記録を読み返す。「前にも同じことを言いました」を起こさないためです
配属先の院長に、あなたのことが引き継がれます
採用担当は、配属先の院長へ申し送りを渡します。書かれているのは、次のようなことです。
- 面接で、本人の心が動いた話題
- 本人の「得意」と、その伸ばし方
- 効く言葉がけ/避けたい言葉・対応
- 1ヶ月目の目標
面接で話したことが、初日に何も伝わっていない。そういうことが起きないようにするための仕組みです。同じ内容を伝えるときでも、人によって届く言い方は違います。全員に同じやり方を当てはめることはしません。
最初に身につける3つ
技術より先に、この3つを体で覚えてもらいます。判断基準まで決めているのは、人によって解釈がぶれないようにするためです。
| 項目 | やること | 判断基準 |
|---|---|---|
| 挨拶 | 目を見る/笑顔/名前を呼ぶ | 患者さんが笑顔で挨拶を返してくれたか |
| 清掃 | 1施術ごとにリセット(シワ・臭い・ゴミがない) | 家族を呼べるレベルか |
| 報連相 | 迷ったら即相談。小さな違和感も共有する | 自分が患者なら、何度も同じ話をするのをどう思うか |
やってはいけないこと:流れ作業/無言対応/自己判断での放置/嘘・ごまかし/人によって態度を変える。
1ヶ月目に、自分で3つの基礎力を確認します
入社1ヶ月目の面談で、本人に記入してもらうシートがあります。「できていない」を数えるためではありません。強い1つを見つけて、そこを伸ばすために使います。
| 基礎力 | 要素 | どんな力か |
|---|---|---|
| 前に踏み出す力 | 主体性 | 指示を待たず、自分で「やる」と決めて動き出せる |
| 働きかけ力 | 周りに声をかけ、人を巻き込んで一緒に動かせる | |
| 実行力 | 決めたことを最後までやり切れる | |
| 考え抜く力 | 課題発見力 | 今の状況から「本当に取り組むべきこと」を見つけられる |
| 計画力 | ゴールまでの段取りと準備を組み立てられる | |
| 想像力 | 相手の立場や先の展開を思い描き、新しいやり方を生み出せる | |
| チームで働く力 | 発信力 | 自分の考えを、専門用語を使わずに伝えられる |
| 傾聴力 | 相手の話を途中で遮らず、笑顔で頷きながら深く聞ける | |
| 柔軟性 | 意見や指摘を素直に受け入れ、やり方を変えられる | |
| 状況把握力 | 自分と周囲の関係、その場の状況をつかんで動ける | |
| 規律性 | ルールや約束を守り、決めたことを続けられる | |
| ストレスコントロール力 | 感情の波を自分で整えられる |
自己評価の数字は、人事評価には使いません。いちばん強いと思う1つを選び、その根拠になったエピソードを語ってもらうことが目的です。
その後は月1回、そして節目の面談
| 時期 | 面談の種類 | 確認すること |
|---|---|---|
| 毎月 | 育成面談 | いまの気持ち、最近の成功体験、課題。次までの目標を1つ |
| 3ヶ月 | OJTの見直し | できるようになったこと、つまずいている業務、教える側の見直し点 |
| 6ヶ月 | 360度フィードバック | 上司・同僚・後輩・お客様からの声と、自己評価とのギャップ |
| 1年 | これからのキャリア | 1年の振り返り、やってみたいこと、必要な学びと支援 |
| 3年 (新卒) |
役割の移行・登用 | 次に担う役割、不足している要件、誰が支えるかを名前で決める |
3ヶ月の面談で「教える側の見直し点」を必ず確認するのは、うまくいかないときに原因を本人だけに置かないためです。誰かの欠点は、自分が活躍させてもらえる場面だと考えています。
会社が自分たちに課している「禁じ手」
入社して数ヶ月で辞めてしまう原因は、だいたい決まっています。だから、会社側がやってはいけないことを3つ定めています。
- 教育を現場に丸投げしない
- 求人情報と現実のギャップを放置しない
- 面談を後ろにずらさない
配属先の院長にも、この3つをお願いしています。
育てる側にも、仕組みがあります
育成は、現場の熱意だけに頼ると続きません。当社では、新人を受け入れて育てる担当者の評価に、次のものを組み込んでいます。
- 面談を実施したか ― 予定された面談のうち、実際に行った割合
- 定着したか ― 1年のあいだに辞めた人がいなかったか
- 採用の目標に届いたか
- 毎月の報告と、人を集める施策を実行したか
採用の結果だけでも、行動だけでも、満額にはなりません。人数が集まった年でも面談を飛ばしていれば評価は下がり、人数が届かなかった年でも、積み上げた行動は残ります。面談5回が「余裕があればやるもの」にならないのは、この仕組みがあるからです。
評価の進め方にも決まりがあります。期のはじめに基準を本人へ説明し、半期には見込みを共有します。期末に初めて結果を知らせることはしません。また、記録の残っていない実績は数えません。
「期待」は「期を待つ」と書きます。素質 × 努力 × 時 = 成果。数字が届かなかった年でも、何を何回やったかが残っていれば、次の一手は全員で持てます。
技術の育成とあわせてご覧ください
ここでご紹介したのは「人としての伴走」の部分です。技術をどの順序で身につけ、どの段階で何を任されるかについては、育成体系 と 学べる技術 のページに書いています。
まずは見学に来てください。実際の現場と、働いているスタッフを見て決めていただきたいと思っています。見学だけでも歓迎します。